平成19年は、能登半島地震や中越沖地震など大きな自然災害に見舞われた年でした。
 災害からの復興に当たっては、行政や関係機関による支援活動と同時に、ボランティアをはじめとした市民レベルによる支援活動が、現在も大きな役割を果たしています。
 災害からの復興に向けては長期的な支援が必要となりますが、今回は被災地の復興活動の現状と県内における防災・減災の取り組みを紹介するとともに、災害に強いまちづくりについて考えます。

復興支援は短期間では終わらない
 能登半島地震や中越沖地震などの際に設置された災害ボランティアセンターを見ると、被災から数日後には設置され、県内外から駆け付けたボランティアの受け入れ窓口となり、被災地の復興支援の大きな役割を担います。災害ボランティアセンターは、一定期間が経過した後、各地のボランティアセンターに業務を引き継ぎ閉所することになりますが、支援活動がそこで終了するわけではありません。
 災害ボランティアセンターを閉所する時期としては、被災者が仮設住宅へ引っ越す時が一つの目安になります。しかし、仮設住宅では、一人暮らし高齢者の孤独の問題や、近所にあって通い慣れた病院や商店などから離れてしまうため、通院手段や買い物さえ以前の通りにいかなくなってしまうなどの、コミュニティの変化による新たな生活課題が生じてきます。このため、新たなニーズに対する新しい支援の仕組みづくりやサービスが必要となってきます。
 こうした課題に対し、被災地ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

地域住民による継続的な支援活動
 平成19年3月25日に発生した能登半島地震では、災害ボランティアセンターの立ち上げから閉所するまでの約2カ月で、約1万6千人のボランティアが石川県の内外から駆け付けました(表参考)。また、地元の民生委員・児童委員や自治会なども復興に大きな力を発揮しています。

 被災してからまもなく1年が経過しようとしていますが、現在の被災地における復興活動がどのように展開されているのか、その一部を紹介します。
 輪島市では、災害ボランティアセンター輪島を手伝っていた地元のグループを中心に「輪島市災害ボランティアの会」が発足し、現在も仮設住宅の住民との交流会を続けると同時に、メンタル面でのサポートや被災者体験の聞き取り調査活動などを行っています。
どを行っています。
 メンタル面でのサポートは、同じ被災地に住む顔なじみの関係があったから、そして、被災からの時間が一定期間経過し、心の落ち着きをいくぶんか取り戻した今だからこそできる活動です。
 また穴水町でも、「グループ325」という地元ボランティアグループが発足し、避難所で暮らす方々との交流や、避難者の悩みを訴える心の代弁者としての活動をしています。
 こうした取り組みをみると、復興に向けた支援活動が長期間になればなるほど、継続的にかかわれる地域住民同士のつながりが重要であることを改めて確認することができます。


埼玉県内の関係団体・住民の取り組み

 地域における防災に係るつながりを考えた場合、自主防災組織が最も身近な存在として浮かび上がってきます。埼玉県内でも、地域住民が連携して防災活動を行う自主防災組織の取り組みが年々盛んになってきています。県消防防災課によると、平成19年9月1日現在で、埼玉県内の自主防災組織の組織率は73・1%(自主防災組織数4,043)に上り、平成18年4月1日の組織率65・2%と比べ8%近く組織化が進んでおり、住民の防災に対する意識が高まってきていることがうかがえます。
 埼玉県では、自主防災組織活動を支援するため、毎年、自主防災組織指導者養成講座を開催し、救護活動や炊き出し訓練のほか、災害時要援護者への取り組みなどに関する研修を行っています。
 一方、災害ボランティアの育成や活動においても、日ごろの住民相互のつながりを意識した取り組みが各団体で行われています。
 被災地における医療救護活動などを行っている日本赤十字社埼玉県支部では、活動を支えるマンパワーとして奉仕団(赤十字ボランティア)を結成しているほか、防災ボランティア養成セミナーを開催してボランティアを育成しています。
 このセミナーは、災害から自分自身を守り、救援活動を自主的に実践できるボランティアの担い手を養成することを目的に、今年度3回実施されました。セミナーを担当する日本赤十字社埼玉県支部救護係長の村山さんは「災害が起こることは防げませんが、日ごろの準備をしっかりとすることで被害を少なくすることができると思います。そのためこのセミナーでは、災害に関心を持ち減災を心掛けるとともに、地域におけるつながりの重要性を認識してもらい、自助だけでなく共助の機運も高めることができるよう研修内容を組んでいます」と、セミナーのねらいについて語ってくださいました。
 また、ボランティアの養成に当たっては、埼玉県内の企業の労働組合をはじめとした多くの組合が加盟している連合埼玉でも、災害ボランティア救援隊の組織化や防災研修会などを定期的に開催するなど、災害対策を積極的に展開しています。

社会福祉協議会における取り組み

 大規模な災害が頻繁に発生している現在は、防災に対する意識の向上から、これまで紹介した関係機関・団体のほかにも多くの方々が災害対策に取り組んでいます。災害時には、市民レベルにおける自助・共助による取り組みと同時に、関係する団体が連携・協働することによってより大きな復興への力となります。
 社会福祉協議会は、災害ボランティアセンターの運営と同時に、各関係機関・団体間の連携をいかにつなぎ合わせていくか、力を集めていくか、ということを推進していく必要があります。
 本会では、災害救援ボランティア活動について、関係機関・団体が幅広く意見・情報交換を行い、顔の見える相互の協力体制を築くため、災害救援ボランティア関係団体情報交換会を定期的に開催しています。交換会では、民生委員・児童委員や市町村社協をはじめ、それぞれの団体が日ごろ取り組んでいる防災活動や市民に対する啓発活動などの情報交換や、能登半島地震や中越沖地震などの現地の状況を報告し合い、今後の展開などについて話し合っています。
 現地の状況を報告し合うことで、刻々と変化する被災者の置かれた状況が徐々に明らかになっていき、被災地における時間の経過とその際に必要な支援の方法などをイメージしていくことができます。

復興後のまちづくりを視野に入れた取り組み

 住民や関係団体との連携の推進は、地域福祉活動を進める社会福祉協議会が日ごろから進めているものですが、防災に対する考え方や日常的な活動も、基本的には地元住民をはじめとする関係団体との日ごろからの顔の見える関係づくりが重要です。
 県内の市町村社協においても、災害ボランティアセンターの運営に対する意識が高まってきており、各地で民生委員やボランティアとともに模擬訓練を行い、災害時のニーズへの対応や、災害時要援護者支援の在り方などについて共に考える取り組みをしています。こうした取り組みの中に、今後は、災害からの復興が長期間にわたることを考え、復興後のまちづくりまでをイメージした取り組みを加味しながら、住民や関係機関との関係づくりを一層深め、災害に強いまちづくりを進めていくことが必要です。