平成18年4月1日に障害者自立支援法とともに施行された改正障害者雇用促進法では、障害者の雇用促進はもとより、新たな制度として、障害者の就労の機会拡大を目指す在宅就業支援制度(自宅等において就業する障害者の支援)が盛り込まれ、一層の障害者の雇用促進に重点が置かれています。
 また、障害者自立支援法の1つの柱には、障害者の就労支援や就労促進が掲げられていることから県内の障害者雇用促進が期待されています。
 そこで、今月号の特集では、現在の障害者の就労状況や民間企業の障害者雇用の状況について紹介します。

障害者の就労状況
 現在、障害者の就労は、福祉的就労としての社会福祉施設の利用を中心に、民間企業において製造業(裁断、研磨)やサービス業(クリーニング、清掃業)、卸売・小売業(スーパー、倉庫などの商品整理)に就いている方が大半となっています。
 埼玉県の平成17年度末の障害者求職登録者数は17,446名、現在、就労している方は8,723名(17年度就職件数1,299名含む)でありますが、民間企業の障害者雇用率は、全国の雇用率を0・08%下回りながらも、17年度は、前年度から0・02%の上昇が見られます(表1参照)。
 また、県内で障害者雇用を実施している企業は、平成17年度1,788社であり、16年度と比較すると120社の増加がありました。雇用規模では、56〜99人、100〜299人規模の事業者で増加傾向(表2参照)にありますが、法定雇用率達成企業の割合は、4割程にとどまっており、実雇用率は、わずかながら0・02%増加している状況にあります。
 なお、新規求職登録者も年々増加し、それに比例し就職件数も増加している傾向にあります(表3参照)。



国県行政の動き
 改正障害者雇用促進法では、精神障害者が雇用率制度における実雇用率の算定対象となったことから、精神障害者の相談・支援体制の強化と、新たに創設された在宅就業支援制度において、通勤困難な障害者に対して在宅就業への選択肢について情報提供をするなど、就業の機会の拡大を図るとしています。
 また、平成18年度の埼玉労働局の重点対策にも障害者の雇用対策の促進が掲げられており、その中では法定雇用率未達成企業に対し指導を行うとともに、障害者雇い入れ計画作成命令および適切な実施に関する勧告を指導基準に基づき厳正に実施するとしています。
 さらに、障害者個々の特性やニーズに応じた職業相談・紹介の実施、個別的な求人開拓の推進、障害者試行雇用事業(トライアル雇用)を積極的に活用し、障害者雇用を推進することが盛り込まれています。
 ハローワークでは、重点事業として障害者の雇用促進を掲げ、会社訪問などにおいて障害者の雇用の拡大・促進を働きかけています。

在宅就業支援制度とは?
 自宅などにおいて就業する障害者に仕事を発注する事業主に対し、障害者雇用納付金制度における特例調整金・報奨金を支給するもの。また、事業主が、在宅障害者に対する支援を行う団体として厚生労働大臣に申請し、登録・認可を受けた法人(在宅就業支援団体)を介して在宅就業障害者に仕事を発注する場合についても同様に取り扱う。
登録要件
在宅就業障害者に対して、就業機会の確保・提供のほか、職業講習、就職支援等の援助を行っている法人であること
常時10人以上の在宅就業障害者に対して継続的に支援を行うこと
障害者の在宅就業に関して知識及び経験を有する3人以上の者を置くこと(うち1人は専任の管理者とすること)
在宅就業支援を行うために必要な施設及び設備を有すること
(※初回の登録には登録免許税の納付が必要)
制度の対象となる障害者
障害者雇用率制度、障害者雇用納付金制度の対象者と同様、身体障害者、  知的障害者、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)
制度の対象となる就業場所
自宅ほか
制度の対象となる業務
物品の製造、役務の提供その他これらに類する業務が対象となっており、対象業務には特段の限定はありません
※詳しくは最寄りのハローワークにお問い合わせください

障害者の就職面接会
 事業主に対して、障害者の自立と雇用への理解を深めるために、埼玉労働局と県の共催で毎年面接会が行われています。面接会は、参加事業者の障害者雇用に対する理解の深まりとともに出席する事業者数は、一昨年202事業者、昨年度205事業者とわずかですが増加しています。また、求人件数も増加傾向にあることがうかがえます。



埼玉県社会就労センター協議会の取組
 社会就労センター協議会では、障害者自立支援法の施行に伴い、就労支援部会を設け企業見学会を実施するなど障害者の就労支援について検討しています。
 また、今年度、県と社会就労センター協議会と本会の共催により、企業と施設を結ぶビジネスマッチングイベントを予定しています。これは、企業と就労センター協議会会員施設が集まり、授産施設の理解と仕事の受注や就労促進を図ることを目的に、施設で生産されるクッキーや木工製品などの自主生産品や、箱詰めなどの簡易作業、公園の清掃などの委託作業など、施設のセールスポイントをプレゼンテーションする機会とするものです。
 今年度は、外食業・小売業、製造業、営業・販売系の3分野の企業と関連する施設に分かれて実施する予定です。
 また、マッチングイベントとともに検討されてきた事業に、営業、製造・開発、販売、会計などの豊富な知識を持った方にサポーターとなってもらい、直接各施設へノウハウを提供し、売り上げ増を目指す授産施設サポーター制度があります。
登録条件
 登録にはいくつかの条件があります。
1.企業および官公庁でおおむね10年以上働いていた方。あるいは、10年以上働いている方。
2.おおむね30歳以上の方(65歳以上の方でも可)。
3.県内の授産施設に出向き、週1〜2日程度で1カ月以上、活動が可能な方。

トライアル雇用の活用
 トライアル雇用事業は、ハローワークが紹介する対象労働者を試行的に短期間(原則3カ月)雇用し、業務を行うに当たり適正や能力・可能性を確認し、対象労働者との相互理解を深めてもらい、常用雇用への移行や雇用経験のない者を新たに受け入れるきっかけづくりとする制度です。
 この事業では、障害者の雇用機会を創出しており、その取組は年ごとに効果を上げています。

対象者
 適正・能力などの理解を深め、安定的な就業の場の確保を図る必要がある者。不安感や負担感の除去、きっかけが必要である者。
中高年者、若年者、母子家庭の母、障害者、生活保護を受けている者、日雇労働者、ホームレスなどにおいて、さらに細かな条件があり、障害者は、障害者雇用促進法第2条第1号に定める障害者および身体障害者の障害の程度等級7級の者、難病者、低身長症者、薬物中毒者などが対象になっています。



今後の障害者の雇用促進を目指して
 今後、障害者の雇用促進を図るためには、受け入れ事業者の理解と障害者を地域で支えていく体制や障害者自身の身近な生活支援も重要になります。
 事業主や周りのサポートにおいて、障害者の就労から自立支援を図っていくことが必要です。
 本会では、社会就労センター協議会や各種障害関係団体と協働して、各地域における障害者の社会参加や就労支援のために社会資源のネットワークの強化を図っていきます。