介護予防を進めるとともに総合的な相談支援などを行う中核拠点…。今年4月の介護保険制度の改正によって誕生した「地域包括支援センター」には、大きな期待が寄せられています。
 地域包括支援センターは公正・中立の立場から@共通的支援基盤(地域包括支援ネットワーク)の構築、A総合相談支援、虐待の早期発見・防止などの権利擁護、B包括的・継続的ケアマネジメント支援、C介護予防マネジメントという4つの機能を担うものとされています。そして配置される保健師、主任介護支援専門員、社会福祉士といった専門職により地域の保健・医療・福祉の専門職、そしてボランティアなどの住民も含めた総合的な支援体制の中核を担うことが求められています。
 今月の特集では、主に地域の連携づくりの視点から、これまでの取組を振り返ると同時に今後の方向性などを考えます。



これまでの実務経験を活かして
 地域包括支援センター(以下「センター」)は市町村行政が設置するものですが、県内146カ所のセンターのうち、社会福祉協議会を含む社会福祉法人への委託は61カ所と最も多く、次いで市町村行政の直営が44カ所、医療系の法人などへの委託が34カ所、そのほか株式会社などへの委託が7カ所となっています(グラフ参照)。
 多くのセンターの前身が在宅介護支援センターとしての実務経験を積んできた組織であり、職員配置もそこでの職員をベースにしているセンターが少なくない状況にありこれまでのノウハウの継続が期待されています。
 また、センターには高度な専門性が求められており、仮に新たに配属された社会福祉士であっても専門職同士によるカンファレンスを積極的に行い、早期にその専門性を発揮できるよう環境整備が求められます。



サービスの円滑な移行や連携
 センターの新たな機能の一つが、介護予防マネジメントです。そして各地のセンターを事業開始早々に忙殺させたのが、その業務の一つである介護予防ケアプラン作りでした。
 この業務が初めての仕事であり、実務面での準備体制など、現在もなお現場では相当な苦労があるようです。これは言わば移行期ゆえの特別な状況とも考えられますが、その過程においても、これまで支援を行ってきた介護支援専門員などのサービス提供組織側とセンターとが緊密な連絡を取り合うことが大切です。支援体制の中核を担うことが期待されるセンターと既存のサービス提供組織などとのかかわりは重要です。
 センターは包括的な役割であるため、アウトリーチ(住民側に手を伸ばすような働き)機能を十分発揮できるよう既存のサービス提供組織側からも積極的にセンターとのかかわりを持ち、それぞれの機能を補い合うことがとても大切です。


顔の見える関係づくり
 センターには、地域包括支援ネットワークを構築する役割が期待されており、介護保険サービス関係者ばかりでなく、住民支援に当たる保健・医療・福祉に関する組織、民生委員・児童委員、自治会関係者、NPO法人、ボランティア、そのほか一般地域住民までをも視野に入れた幅広いメンバーによる支援体制です。しかもそれは、形式的なネットワーク会議を指すものではなく、支援の必要性に応じた弾力的で実効性のあるものであることが期待されます。
 センターを基盤として、地域の民生委員・児童委員、自治会関係者、ボランティア団体、社会福祉施設職員、医療従事者が連携することで、住民の安心と信頼を醸成し、さらには近隣のセンターとも交流することなども大切です。
 お仕着せや形式だけのネットワークでなく、幅広いメンバーと顔が見える関係を築き、情報を共有して地域の特性や実情を踏まえた柔軟な取組を展開していくことが重要です。



総合的な支援体制づくりに向けた動き
 昨今、介護保険制度だけでなく障害者自立支援法の相談支援事業、児童虐待防止のためのネットワークなど、社会福祉の諸分野において総合的な支援体制づくりが制度や仕組みを伴って具体化されるようになってきています。また、地域福祉計画の策定が少しずつ進む中で、総合的な相談支援体制の構築を施策として掲げる市町村も出てきました。
 これらの動きは、これまでの縦割りの社会福祉の諸施策やサービスを、地域の視点で組み替えて再構築して総合化しようとするものとして注目されます。
 そして、そういった取組は一朝一夕にできるものではなく、日常的なお互いのかかわり合いの中から醸成されるものです。

住民との地域づくりの視点
 専門職と地域との連携のためには、何よりも専門職とそこに住む住民とが共に考え、共に築き上げる地域づくりの視点が不可欠です。
 適正な運営のための財源、専門性の発揮、介護予防の取組、地域特性に応じたサービスの創出、地域のネットワークの構築など、センターの役割としてとても重要です。
 センター関係者はもとより、地域の保健・医療・福祉に携わる多くの関係者には、センターの本来的な機能発揮を促進させるため、センターに期待されている役割を正しく理解し、中期的な視点で活性化させる、あるいは良い意味で活用する姿勢が求められています。