県社協のご紹介
県社協のご紹介
熊谷市内の全ての小学校区でこども食堂を開催している熊谷こどもまんなかネットワーク。民間主体では全国初となる取り組みです。ネットワークの力を活かしてそれぞれのこども食堂の活動をサポートするとともに、地域住民が協力しやすい仕組みづくりにも取り組んでいます。
地域の洋食レストランが開催しているこども食堂の楽しそうな風景。
他にも焼肉店、うどん店など多様なジャンルの飲食店が協力。
飲食店の壁に掲示されたフードリボン。こども食堂が開催されていない日でも、リボンをひとつ取って店に渡せば、食事が提供される。
一般社団法人熊谷こどもまんなかネットワークは2023年に設立され、翌年に法人化されました。
現在法人の代表理事を務める山口純子さんは当時、こども食堂の活動を通じて、中には一見そうは見えなくても、食事が十分に取れていないこどもたちがいるという現実を目の当たりにし、こどもたちが歩いていける距離にこども食堂を作りたいと考えていました。
一方、同法人の統括ディレクター加賀﨑勝弘さんは「給食のない夏休み明けに、げっそり痩せてくる生徒がいる」という話を関係者から聞いて、大きな問題意識を抱いていました。加賀﨑さんは市内で飲食店6軒を営みながら、「食を通じて街をデザインする」という街づくり活動に取り組んできましたが、この課題を無視することはできないと強く感じました。
当時立教大学で講師を務めていた加賀﨑さんは、東京大学が主催する、地域課題に対して提案を行うコンペ(※)に学生とともに参加し「全国初!地域内の全小学校区での子ども食堂開催を実現」という提案をして見事グランプリを受賞しました。さっそくこの提案を形にするため、市内で長くこども食堂を運営していた山口さんに声を掛けて有志を集め、動き出しました。
地域の人が少しずつできることを担う仕組み
2023年にキックオフミーティングとして「熊谷こども食堂フォーラム」を開催したところ、予想をはるかに超える230人が集まり関心の高さを再確認できました。
まず「地域の飲食店にも、こども食堂の活動を担ってもらおう。飲食店にはこども食堂が必要とする条件が整っているから」と、一軒一軒訪問して参加を呼び掛けました。現在、37のこども食堂が定期的に開催していますが、そのうち30カ所が飲食店です。
個々のこども食堂の活動を支えているのはネットワークの力です。立ち上げのサポートはもちろん、食材や物品の提供支援のほか、助成金や補助金をネットワークで獲得して分配するといった金銭面の支援も行っています。またパンフレットやチラシ、ホームページや動画の企画製作など広報全般の役割も担っています。
その一方で、地域の人たちが無理なく少しずつできることを担って、こども食堂に協力する仕組みづくりも進めてきました。例えば「熊谷こどもまんなか基金」を設立して寄付を募るほか、病院やレストランなど住民が行き交う場所に募金箱を設置しています。また「フードリボンプロジェクト」にも取り組んでいます。これは飲食店の利用客が一つ300円のリボンを購入して店内に掲示しておくと、こどもたちがそのリボンで食事ができるというものです。
熊谷こどもまんなかネットワークではこども食堂だけでなく、学習支援やフードパントリーなど多面的にこどもを支える活動にも取り組んでいます。福祉の枠にとらわれず、大人が明るく、楽しく、元気に活動することをモットーに、支援の輪がどんどん広がっています。
※地域課題に対して市民が提案をする「チャレンジ!!オープンガバナンス2022」
福祉の魅力・やりがいを言葉にすると?
一般社団法人 熊谷こどもまんなかネットワーク
統括ディレクター・理事
加賀﨑(かがさき)勝弘(かつひろ)さん
代表理事
山口(やまぐち)純子(じゅんこ)さん
Q1.この言葉を選んだ理由を教えてください。
山口さん
私たちのネットワークの名前でもありますが、こども食堂側の都合を優先するのではなく、何よりもまず「こどもまんなか」という理念を大切に活動しています。それぞれのこども食堂が継続できるように助け合い、こどもたちの笑顔や安心がまんなかにある循環型社会を目指して活動するのが「熊谷こどもまんなかネットワーク」です。
加賀﨑さん
地域で暮らす人は、本人が気づいているか、いないかにかかわらず、必ず地域愛を持っていると思います。地域愛があれば、地域のこどもがお腹をすかせていれば助けたいという気持ちになって、その人ができる形で支援するでしょう。その積み重ねこそが良い循環を生むと考えているので、私は地域愛という言葉を大事にしています。
Q2.地域住民の方にメッセージをお願いします。
山口さん&加賀﨑さん
地域のこども食堂に少しだけ関心をもっていただけると、「協力できることがたくさんあるな」と気づかれると思います。募金でも食材の寄付でも何でもよいので、ご自身ができる小さなアクションをお願いします。
熊谷こどもまんなかネットワークの活動の楽しさがダイレクトに伝わってくるPR動画を埼玉県社協「こども食堂・未来応援基金」の助成金を活用して制作しました。
◀こども向けにこども食堂がどんなところかを紹介
◀一般向けに、さまざまな支援方法があることを紹介