県社協のご紹介
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障害福祉サービスや相談支援事業を展開している社会福祉法人「昴」。障害がある人の地域生活を支える拠点として、2019年にアート活動のためのアトリエを立ち上げました。ギャラリーも併設され、地域住民との交流の場にもなっています。
まちこうばGROOVIN'のアートスペースでは、利用者の吉川健司さんが力強いタッチで人物画を描いていました。今月号の表紙は吉川さんの作品が掲載されています
ギャラリースペースには、利用者の方々の作品が展示されています。手前の青い作品は、小さな文字が隙間なく埋められていて、抽象画のような趣があります
「昴」が運営する「デイセンターウィズ」では以前、日中活動プログラムとしてアート活動に取り組んでいました。折しも障害者アートが全国的に盛り上がりを見せてきた時期で、利用者の作品が海外も含めて各地で展示されるなど活躍の場が増えてきたこともあり、作品制作に打ち込めるアトリエを探すことになりました。
2019年、もともとフランス料理店だったおしゃれな一軒家を借りて、アトリエとギャラリーを備えた「まちこうばGROOVIN'」(以下、GROOVIN')を開設しました。
グルーヴとは音楽用語で、リズムが流れる中で生まれる「ノリ」のこと。演奏者一人ひとりのリズムにズレがあっても、それが重なりあっていくにつれて良いノリが生まれることがあります。「利用者さんは一人ひとり個性が強く、その作品は表現方法も全く異なりますし、作品を観る側の感じ方も違います。このように多くの人のズレが混ざり合うことで面白い効果が生まれればと思って名付けました」と、「昴」の生活支援員でGROOVIN'担当の石平裕一さん。
現在は一日数人の利用者などが交替で訪れて、静かな環境のなかで、職員とコミュニケーションを交わしながら作品づくりに打ち込んでいます。
ギャラリーでは主に「昴」の利用者の作品を展示しますが、他の施設の利用者や地域住民など多様な人の作品も展示します。「地域の人たちにもここに足を運んでいただき、利用者さんとの交流の機会をつくりたいという思いがあります」と石平さん。
GROOVIN'は美術だけでなく、音楽活動の場にもなっています。音楽好きな利用者とスタッフがロックンロールバンドを組んで定期的に練習に取り組み、ライブにも出演しています。
事業所同士のネットワークの構築
一方で、埼玉県の障害者芸術文化活動普及支援事業の採択を受け、県で二つ目の支援センター「ART(s)さいほく」をGROOVIN'の中に開設しました。
活動内容は、主に県の北西部におけるアート活動の支援で、具体的には作品展など発表の機会の創出や支援する人材の育成、ネットワークの構築、相談支援などです。例えば、北西部の事業所が集まって会議や研修会を開催しながらネットワークの構築を進めています。また、作品展の出展者の家族に美術との出会い等についてインタビューする企画も実施したところ、一人ひとりにドラマがあることが分かったといいます。
GROOVIN'の今後について石平さんは「面白いことをどんどん発信していきたい。ここに来れば、面白い作品や表現に出会えるという場にしたい」と語ります。GROOVIN'はその名前のとおり、アートを通じて多様な人たちの個性が響き合っていました。
福祉への想いを聞きました!
福祉の魅力・やりがいを言葉にすると?
社会福祉法人 昴 生活支援員
「まちこうばGROOVIN'」担当
「ART(s)さいほく」事務局職員
石平(いしだいら) 裕一(ゆういち)さん
Q1.この言葉を選んだ理由を教えてください。
僕は美術を学んだこともなく、「りんごは赤、空は青」としか考えられない人間でした。しかし障害のある方が描いた絵は、そういった考えにとらわれないもので、僕の好奇心を刺激しました。好奇心がなかったら「面白いな」と感じることはなかったと思います。ただし、好奇心という言葉の危うさも感じており、なんでも面白がっていると、利用者さんが本当は困っている状況を見逃してしまわないか、気をつけるようにしています。
障害者アートに携わるようになってから、理解が難しい行動についても、悪い行動としてみるか、何か他の意味の行動としてみるか等々、自分の視点が幅広くなりました。利用者さんたちの絵は僕の価値観を変えてくれたように感じています。
Q2.地域住民の方にメッセージをお願いします
ぜひアート活動に取り組んでいただきたいと思います。「アートなんて分からない」「自分には無理」と、謙遜される方が多いのですが、誰でもドラマやマンガを見て感動することがあると思いますし、趣味や好きなことがあると思います。そういった気持ちがあれば、自ら表現することができると思います。面白いことを一緒に面白がりましょう。