県社協のご紹介
県社協のご紹介
金融機関が設立した福祉財団が、28年前から実施している介護者向けの旅行事業。社協と連携して、在宅ケアを行っている方を旅行に招待し、楽しんでいただくことで、明日からの活力を養えるように支援しています。
事務局長の関寛昭(ひろあき)さん(写真右)と、市ノ川昇さん。
「介護者リフレッシュ旅行」の功績により、財団は平成30年に県知事表彰を受けました。
参加者の多くは中高年の女性ですが、配偶者を介護する高齢男性や、障害児を育てる若い女性の参加もあります。
さいしん福祉財団は、埼玉縣信用金庫が創立50周年を記念して平成9年に設立し、社会福祉の向上に貢献する事業を展開している公益財団法人です。
主な事業は、在宅で介護している県内の方々を対象にした「介護者リフレッシュ旅行」。日々、介護に明け暮れて外出もままならない介護者の方を、県内の地区ごとに旅行に招待し、疲れを癒して、明日からの活力を養ってもらうことを目的としています。
現在は1年間に5回実施、4年以上かけて全市町村を一巡します。平成9年にスタートして以来147回、延べ5、563人を招待しました(令和7年1月末現在)。
同じ境遇だからこそ悩みや苦しみを分かち合える
コロナ禍以前は一泊旅行が基本でしたが、最近は日帰りで、東京スカイツリーの観光や劇団四季の観劇を行っています。参加者を募るのは市町村社協です。
例えば今年1月に実施した旅行は、白岡市、宮代町、杉戸町在住の介護者22人を招待しましたが、それぞれの社協が広報誌に募集案内を掲載するなどして独自に参加者を集めます。
多くの社協は、一般の方に向けて募集するだけでなく、ケアマネジャーなどから「長年、寝たきりの母親を献身的に介護している方がいる」といった情報を集めて、個別に旅行への参加を呼び掛けるなどの対応をしています。
また当日は、添乗員として社協職員が同行し、参加者のまとめ役を担っています。財団の事務局長、関寛昭さんは、「この事業は社協の協力なしには成り立ちません。長く連携してきたので信頼関係も構築できていますし、この事業への理解も浸透しています」と話します。
また旅行費用は財団が全額負担し、旅行期間中に利用するショートステイやデイサービスの費用の一部も負担して、参加しやすい環境づくりに努めています。
道中のバスの中では、一人ひとりにマイクを渡して、介護にまつわる思いの丈を語ってもらう時間を設けています。参加者全員が介護者という安心感から、多くの人が心の内に溜め込んできたつらさや悩みを吐露するといいます。同じ境遇だからこそ分かり合える、有意義な取り組みです。
そして出発時は初対面だった参加者同士が、帰路に就くころには心が通い合う関係になっているそうです。
旅行の後は、参加者から財団の事務局宛てに「久しぶりに楽しい時間を過ごすことができ、また介護を続けていく気力が湧いてきました」といった感謝の手紙が届くことが常です。
28年前、まだケアラーという言葉もなかった時代に介護者支援という視点でスタートした事業。地域の社協と連携しながら、多くの介護者の疲れを癒しています。