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県社協のご紹介

巻頭インタビュー(2023年11月)

世の中に価値のないものは存在しない ~排除なく、誰もが自分らしく 咲き誇る社会を目指す~

 東京・原宿でカフェ併設の生花店を開いて、積極的に障害者雇用に取り組む「ローランズ」代表の福寿満希さん。障害者雇用を広める活動にも尽力しています。今回は障害者雇用への思いについて伺いました。

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株式会社ローランズ 代表取締役/フローリスト
福寿 満希(ふくじゅ みづき)さん

 

 学生時代に特別支援学校で出会った障害や余命と向き合う子どもたちの「働く夢」に触れ、その夢が叶う社会を作ることを決意する。
 「排除なく、誰もが花咲く社会」を目指し、花や緑のギフトや空間装飾サービスを通じて障害や難病と向き合うスタッフを多数雇用する花屋、ローランズを運営。
 現在従業員70人のうち50人の障害当事者が活躍する。心を整えながらチームアップで働く環境を整備し、職場作りの新しい形として注目を集める。
 事業を通じて、花や植物のように、オリジナルの自分で咲き誇ることの素晴らしさを伝えている。

 

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ローランズ店内は緑にあふれ、色とりどりの花が美しく咲いています。

--障害者雇用を始めたきっかけと経緯を教えてください。


 大学3年生の時、特別支援学校を教育実習で訪れ、初めて障害のある子どもたちに出会いました。
 

 子どもたちはさまざまな将来の夢を教えてくれましたが、担当教員から、「社会に出たときに働きたくても就職することができない」と聞かされ、衝撃を受けました。いつか子どもたちを受け入れる会社をつくりたいと思うようになりました。
 

 23歳のときに自宅でフラワービジネスを起業することを決意。2016年5月に東京・駒込で生花店をスタート。障害者雇用を開始しました。その後、2017年5月に東京・原宿でカフェ併設の生花店「ローランズ」をオープンしました。現在は、全従業員約70人のうちの7割が障害と向き合いながら活躍しています。

 

--誰もが働きやすい環境になるように、どのようなことに気を付けていますか。


 仕事は1チーム5人位の少人数制で行っています。体調の変化もよく分かり、コミュニケーションもとりやすい人数で、それぞれの得意なスキルを掛け合わせながら、最高のパフォーマンスが発揮できるようにしています。
 

 採用した後も仕事を長く続けてもらうためには当事者が働くうえでの障害を、いかになくしていけるかというのが課題です。仕事を細分化したりジョブチェンジを試みたりするなど、一人一人に合わせて丁寧にやっていく必要があります。

 

--さまざまな事業を展開されていますね。


 2018年からは、カフェ事業の一環として子ども食堂「お花屋さんのこどもごはん」を運営しています。調理などの運営業務は、主に障害や難病と向き合うスタッフが行っています。今までは支援される側だった人が、社会に貢献する側に変わっていくことができます。
 

 また今年の8月には、横須賀で花の栽培をスタートしました。そこでは、近隣の特別支援学校の卒業生や、障害福祉団体を受け入れていく予定です。この事業では規格外で市場に出荷できない花も大切に加工して商品として販売します。価値がないものはないのです。私たちは花を通じてそれを証明し、誰も排除されることなく、人々が自分らしく咲き誇ることができる社会を目指しています。

 

--企業間での障害者のチーム雇用の取り組みについて教えてください。
 

 今まで日本の障害者雇用は「障害者雇用率制度」(※1)があるように、1社単独で取り組むのが原則でした。しかし1社だけで取り組むには課題が数多くあります。そこで「ウィズダイバーシティ有限責任事業組合」(※2)を設立し、障害者の共同雇用の仕組みをつくりました。これは、政府が障害者雇用を増やすために国家戦略特区で認めた特例を利用した全国初の試みです。
 

 現在、当社を含めて12社が加盟しています。当社は障害者雇用のノウハウがありますので、11社から仕事を受注し、その結果増えた雇用者数は全12社で算定します。3年目に入りますが、約20人の新規の障害者雇用が生まれました。

 

--最後に今後の抱負と読者へのメッセージをお願いします。
 

 私たちは障害当事者とさまざまな事業をつくりあげてきましたが、今後は一つ一つの事業を育てていきながら、読者をはじめ多くの皆さんに「世の中に価値のないものは存在しない」というメッセージを広めていきたいと思っています。
 

 足りないものばかりに目を向けるのではなく、持っているものに焦点を当ててみると、自分は今、すごく豊かな状態にいることに気付くと思います。それに気付くことができれば、自分の考え方や価値観が変わり、日常の景色が変わっていくと思います。ぜひ、すでにあるたくさんの幸せを皆さんに気付いて頂き、心豊かに過ごして頂けたら嬉しいです。

 

※1 障害者雇用率制度とは
常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主に障害者雇用を義務付ける制度(民間企業2・3%、特殊法人等2・6%、他)

 

※2 有限責任事業組合(LLP)とは
民法組合の特例として創設された、参加する組合員が個性や能力を発揮しながら共同事業を行うことができる組織形態

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