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今月のキラリ(2024年7月)

社会的障壁を取り除き共生社会の 実現を目指すDET(障害平等研修)  DET埼玉(入間市)

 DET(Disability Equality Training)とは障害平等研修のことで、障害者自身が進行役となり、参加者と対話しながら進める参加型ワークショップです。DET埼玉は、DETを通して社会的障壁を取り除き、多様性を尊重する共生社会の実現を目指して活動しています。

 

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DET埼玉 代表
NPO法人 障害平等研修フォーラム 事務局長 上野優一さん
上野さんは2009年、頸椎損傷になった中途障害者で電動車いすユーザー。NPO法人障害平等研修フォーラム認定Aファシリテーター。

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DETは2、3時間から1日のワークショップとして実施。20~30人前後の参加者が小グループに分かれ、イラストやビデオなどの教材を使いながらファシリテーターと対話を進めます。

 DET(障害平等研修)とは、障害者差別禁止法(1995年施行)を推進するための研修としてイギリスで発展したもので、現在も世界各地で実施されています。

 特徴は障害者自身がファシリテーター(進行役)を務め、参加者と「対話」をしながら進めていくワークショップ型の研修であることです。日本でもファシリテーターの資格を有した当事者の方が全国各地でDETを開催しています。東京オリンピック・パラリンピックのボランティアは全員DETを受講しました。
 埼玉県の任意団体「DET埼玉」も、2018年から小中学校や大学、自治体、社協などさまざまな機関、団体で研修を行っています。代表の上野優一さんは事故で四肢麻痺となった電動車いすユーザーで、ファシリテーターを務めています。

 

障害とは個人の問題ではなく社会の環境にあると気づく

 ある小学校で行ったDETの一場面です。上野さんは車いすユーザーの女性のイラストを見せて「障害はどこにありますか?付箋を貼ってください」という問題を出します。女性の前には階段状の段差があり、段差を越えないと雑貨店に入れない状況が描かれていますが、こどもたちの多くは女性の身体に付箋を貼りました。そこで上野さんは「私は5センチの段差でも、高い絶壁に感じる」と話して、障害は段差であることに気づいてもらいます。
 また、「エレベーターが満員でも、誰も譲ってくれないことがありますが、皆さんはどう思いますか?」と問いかけます。
 こどもたちは上野さんとの対話を通して、障害は当事者個人の問題ではなく、社会の環境や人々の意識にあることを学びます。
 研修を受けたこどもたちからは「障害の本当の意味が分かった」「障害のある人に出会ったら、何かお手伝いできることはありますか?と聞いて、エレベーターのボタンを押したり、場所を譲ったりしたい」といった感想が寄せられました。
 DETは知識を学ぶための研修ではありません。研修の目的について上野さんは次のように説明します。「参加者が障害を見抜く力を獲得し、障害をなくすためにどんな行動ができるかを考えて実行し、社会を変えていく主体になることです」。
 障害者を排除しないことは、「共生社会」の実現にもつながります。上野さんは、あるコンビニエンスストアが車いすユーザーに配慮して環境改善を行った結果、ベビーカーを押す女性客の数も増えたという事例を挙げ「障害者が社会参加できる社会は、高齢者や妊産婦、外国人等、多様な人たちにとって住みやすい社会になるのではないでしょうか」と話します。
 「DET埼玉」の目下の課題は、ファシリテーターや一緒にDETを進める仲間を増やしていくこと。埼玉をよりインクルーシブな社会にしていく仲間に加わってほしいといいます。そして「研修をさらに積み重ねて、障害はみんなで環境を変えていくことで解決していけるという意識の改革をもたらしたい」と力強く語ってくれました。

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