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新春特別巻頭インタビュー(2025年1月)

金融の枠を超えて、さまざまな社会貢献事業に挑戦 ~大切なのは、誠実なる思いやりと人との絆づくり~

 埼玉りそな銀行は、「日本一暮らしやすい埼玉」の実現を目指し、こどもの居場所づくりなどの子育て支援をはじめとする、さまざまな社会貢献の取り組みを進めています。
 今月は福岡聡社長に、その根底にある理念や、取り組みに対する思いを本会の金子副会長が伺いました。

 

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埼玉りそな銀行代表取締役社長
福岡 聡(ふくおか さとし)さん


1965年4月3日生まれ。埼玉県出身。89年早稲田大学政治経済学部卒業後、埼玉銀行入行。2004年企画部次長。08年鶴ヶ島支店長。10年経営管理部グループリーダー。13年営業サポート統括部長。15年りそなホールディングス財務部長。18年りそなホールディングス取締役兼代表執行役財務部担当を経て、20年4月から現職。

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オープンセレモニーの様子

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埼玉りそな銀行本社に飾られた渋沢栄一翁の書の前で
福岡聡社長(左)と金子直史本会副会長(右)

金子 福岡社長は加須市(旧・騎西町)のご出身で、当時の埼玉銀行に就職されたと聞いています。

 

福岡 我が家は先祖代々、埼玉に根を張ってきた歴史があり、私も地元の幼稚園、小中学校、高校に通いました。川が流れ、田んぼが広がる自然豊かな環境の中で、小さい頃は毎日暗くなるまで、外で遊んだものです。勉強が嫌いで、いたずらばかりしていたので、親にはよく叱られました。
 大学は都内でしたが、卒業すると埼玉銀行に就職。やはり自分を育ててくれた埼玉に特別な愛情を抱いていて、恩返しをしたいという思いがありました。
 その後、埼玉銀行は合併を繰り返す中で、りそな銀行となり、埼玉県の事業は埼玉りそな銀行に継承されました。2003年には“りそなショック”(自己資本比率の大幅低下により約1兆9600億円の公的資金が注入された)が起きるという流れのなかで、私は肉体的にも精神的にもつらい時代を長く過ごしました。それを耐え抜くことができたのは、「自分は埼玉の役に立つ」という信念のようなものがあったからだと感じています。

 

金子 過酷な時代を乗り越え、2020年に社長に就任されました。「日本一暮らしやすい埼玉」の実現や「埼玉県の皆さまに信頼され、地元埼玉とともに発展する銀行」を目指している考えをお聞かせください。

 

福岡 我々は地域金融ですので、地域社会の発展がなければ我々の発展はありません。この考え方の根底には、創業の礎のひとりでもある渋沢栄一翁の「道徳経済合一(どうとくけいざいごういつ)(※1)」という言葉があります。
 複雑化してきた今の時代は、たくさんの人がつながり、協力しあうことで、未来を展望していくときだと思っています。そのためには金融という枠だけを見ていては、社会の発展には貢献できず、地域の皆さまの暮らし全般を見ていく必要があります。

 

金子 道徳経済合一は、御行がとても大切にされている言葉です。この理念について、どのように進められてきたのでしょうか。

 

福岡 まず社会に対する誠実なる思いやりを持つことを大切にしています。渋沢栄一翁の言葉でいうと「忠恕(ちゅうじょ)(※2)」ですね。そのうえで、「利他(りた)(※3)」の精神をもつことです。社会貢献があって次に我々の成長があるのですが、この優先順位を間違うと利己的な方向に行ってしまいます。道徳経済合一を社内で進めるため、この忠恕と利他についてよく話をします。
 誠実な思いやりの実践について、私は「広く・深く・長く」というキーワードをよく使います。これは社会全体に対して「広く」、困りごとに対して「深く」、未来に向けて「長く」ということで、思いやりの範囲を広げることが大事だと思っているためです。
 「広く・深く・長く」が形になった取り組みとして、2021年に当行が設立した株式会社地域デザインラボさいたま(ラボたま)が挙げられます。日本一暮らしやすい埼玉の実現のために、地域課題の解決事業を営む、まちづくり支援の会社です。これまでの銀行業務を超えた領域まで踏み込んで、行政や大学等との産学連携のハブ機能を発揮し、お客さまや地域に「広く・深く・長く」伴走支援をしていきます。

 

金子 渋沢栄一翁は、新紙幣の一万円札の肖像に選ばれ、大きな話題になりました。

 

福岡 それ以前にはNHK大河ドラマ「青天を衝け」で渋沢栄一翁の一生が描かれるなど、埼玉県が注目される良い機会になりました。県民のシビックプライド(地域への誇りと愛着)が向上し、新たなことに挑戦しようというマインドにつながるのではという期待も膨らみました。そこで当行は、新札の発行日に全店で両替を実施しました。全店両替は全国で2つの銀行だけで、実はさまざまな苦労があったのですが、実施してよかったと思っています。
 渋沢栄一翁は当行の前身のひとつである黒須銀行の設立時の顧問を務めていましたが、この銀行は庶民の貯蓄を資本とし、学校には有利な利子をつけ、利益のなかから寄付を行うなどしたことから道徳銀行と呼ばれるようになりました。そこで渋沢栄一翁から道徳銀行の書が贈られ、その書は、当行の応接室に今も飾られています。
 渋沢栄一翁は、混沌とした時代を生きて、次の時代の成長をつくった方ですが、その原動力は、思いやりや道徳、あるいは挑戦でした。我々もこういったキーワードを体現していくことで日本一暮らしやすい埼玉を実現していきたいと思っています。

 

金子 その中で御行は未来を担うこどもたちの支援にも尽力されていて、銀行支店でのフードドライブや、こども支援拠点「りそな YOUTH BASE」の開設など、これまでの銀行にはなかった革新的な取り組みをされています。その原動力は何だと思いますか。

 

福岡 我々は、「金融+で、未来をプラスに。」をパーパス(企業の社会的な存在意義)として掲げる中期経営計画を公表しました。そこで、社内で「我々の持っている、人財を含めた金融資源をどのように生かすと、未来をプラスにできるだろうか」という問いかけを行なっています。
 そんな中、加須支店・騎西支店が2020年にフードドライブを開催したことをきっかけに、いまでは全店規模に広がりを見せています。社員がこどもの貧困を地域課題として認識し、自主的に取り組んでいます。
 こども支援拠点「りそな YOUTH BASE」については、2022年に越谷市にあるせんげん台支店3階に開設し、24年にはさいたま市の本店に隣接する旧社内保育所に開設しました。地元のこども支援団体に無償で貸し出し、学習支援やイベントなどに利用されています。
 空間のもつ力は大きいと考えていますが、銀行は経営資源のひとつである店舗などをもっています。そこで「もっと社会のために役立てたい」という社員の提案でこどもの居場所が生み出されました。

 

金子 社員の皆さんが自主的に地域課題に取り組む職場風土は、どのように醸成されたのでしょうか。

 

福岡 りそなショックを経験した後、風通しの良さ、透明性といったキーワードが組織に植え付けられましたが、私の代になってさらに、コミュニケーションの重要性を打ち出しました。上司と部下が定期的に面談する、1on1(ワンオンワン)ミーティングを社内で実施したり、上司と部下だけでなく、斜めや横の関係づくりの機会も設けたりしています。
 また積極的に社外に出て、NPO団体で学んだり、行政や大学、民間企業とつながって活動したりしています。「越境」というキーワードで、いろいろな人とつながることで、自分自身を見つめなおしたり、社会の課題を別の角度から捉えなおしたりすることができるようになったと思います。人財育成とコミュニケーションの仕組みを変えたことが、よい結果につながりました。

 

金子 最後に今後の展望や抱負について教えてください。

 

福岡 現代は人口減少も進んで、難しい社会課題を数多く抱えていますが、我々はさまざまな方々と力を合わせて、できることは何でも取り組んでいきたいと考えています。今、足元では、例えば障害者の方の働き方を多様化する取り組みや、若者に向けて金融犯罪防止も含めた金融経済教育の取り組みも始まっています。人とのつながりの中には、これからの可能性を広げる大きな力が眠っています。
 大切なことは思いやりを通して人との絆をつくること。そして挑戦をしていくこと。この二つをもって、社会課題を一つ一つ解決していくと、日本一暮らしやすい埼玉の実現に役立つと実感しています。

 

金子 福岡社長の地域愛を強く感じました。この思いが職員に浸透し、自主性を重んじる雰囲気づくりとコミュニケーションの仕組みの工夫などが相まって先進的な取り組みにつながっていると理解できました。お忙しいところありがとうございました。

 

※1 道徳経済合一 事業を進めていくうえで、常に社会貢献や多くの人の幸せといった公益を追求しながら、同時に利益を上げていくこと。
※2 忠恕 自分の良心に忠実であることと、他人に対する思いやりが深いこと。
※3 利他 他人に利益となるように図ること。自分のことよりも他人の幸福を願うこと。

 

 

 

 

 

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