県社協のご紹介
県社協のご紹介
家族のケア等で悩みを抱えているヤングケアラーの支援に取り組んでいる秩父市社会福祉協議会(以下、秩父市社協)。学校や行政など関係機関と連携しながら、子育て世帯への支援を展開しています。
ヤングケアラーの事業をきっかけに始まった、子育て世帯向けのフードパントリー。多くの世帯が参加し、レトルト食品やお菓子などが無料で提供
学校に体操着やインスタント食品を支援
秩父市社協では4年ほど前に市からの相談を受けてヤングケアラーの支援について、市社協として何ができるかを内部で議論した結果、これまで高齢者や障害者向けに訪問介護事業を担ってきた実績を生かして、ヤングケアラーの負担軽減のためにヘルパーを派遣しようと決定しました。
そして埼玉県社協の「ヤングケアラーとその家族に寄り添うモデル社協支援事業」を活用し、令和4年に活動を開始しました。
まず本事業を周知するためのチラシを作成し、民生委員・児童委員協議会や町会などに配布。さらに市内全21の小中学校を1校ずつ訪問し、事業の説明を行いました。教頭先生と保健室の養護教諭に聞き取りを行ったところ、家族のケアを担い悩んでいるこどもたちがいることが分かりました。
このような活動を通してヤングケアラー世帯の把握にはつながりましたが、「うちはこどもに無理をさせていないからヤングケアラーではない」と、保護者の方々からサービスの利用を断られてしまったのです。
子育て支援の一環とすることで保護者の抵抗感を和らげる
「しかし困っているこどもが学校にいることが分かった以上、社協としてなんらかの支援をしたい」と、総務課主任の青木義尚さんは考え、小中学校に対して具体的な困りごとについてのアンケート調査を実施しました。
すると家事に追われて朝食抜きで登校したり、汚れた体操着を着ていたりするこどもの存在が明らかになったので、体操着やインスタント食品などを購入して学校に贈ることにしました。このように、学校が抱える課題に一緒に対応することで、学校との関係性を深めていきました。
一方、ヘルパー派遣の利用はゼロのままでした。そこで市とも相談し、子育て世帯を広くサポートする事業ということにしたところ利用が始まり、買い物や調理、入浴の支援がスタートしました。
実際に自宅に伺ってサービスを提供すると、外側からは見えなかったヤングケアラーの実態が見えてきました。
支援にあたっては「関係機関と連携しながら、こどもを中心に支援の仕方を考えている」と青木さん。
「秩父市社協はこれまで高齢福祉と障害福祉に重点を置いてきましたが、今回の取り組みをきっかけに、行政や学校と連携することで、こどもたちの抱える課題が具体的に見えてきました」と次長の野口健さんは話します。
現在では子育て世帯向けのフードパントリーの新たな立ち上げや、こども食堂への助成をするなど、幅広くこどもたちへの支援を行っています。
福祉の魅力・やりがいを言葉にすると?
社会福祉法人
秩父市社会福祉協議会
事務局次長
野口(のぐち) 健(たけし)さん
総務課主任
青木(あおき) 義尚(よしなお)さん
Q1.この言葉を選んだ理由を教えてください。
野口さん
社協職員の役割は「黒子」に例えられることがよくあります。黒子は表舞台に立つことなく、例えば生活課題を抱えた人に対して伴走しながら支える存在で、発言もしません。しかし地域共生社会を推進している現在は、黒子の役割を一歩超えて仕事をしていく必要があると考えました。
「黒幕」には陰で人を操るというイメージがありますが、人から頼りにされる陰の存在というイメージもあります。多職種連携が求められるなかで、人と人を陰でつなぎながら、地域住民をも巻き込んで、一緒に課題解決に向けて取り組んでいく。そして「あの人に頼めばなんとかしてくれる」と、人から頼りにされる社協職員になりたいと考えてこの言葉を選びました。
青木さん
「行く」と「行う」の両方の意味を込めて「行」という一文字を選びました。今回のヤングケアラー支援において、私たちは市内の小中学校全てに足を運んで、先生方と顔を合わせながら「こどもたちのために支援したい」と訴えました。それが功を奏して、学校側の多大な協力が得られたと感じています。
福祉職員には「人を動かす力」が求められる場面がありますが、机の前で待っていても人の心は動きません。やはり自ら率先して行動を起こすことが大切です。
そして困っている人に会いに行って、丁寧に話を伺うことの大切さも今回のヤングケアラー支援を通じて実感しました。