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巻頭インタビュー(2026年5月)

『マッチョ介護士』で福祉現場のイメージを覆す               ~新しい視点から人材確保と定着の課題に取り組む~    

 ボランティアで訪問介護の仕事に出会い、人のためになる喜びを感じて訪問介護の会社を立ち上げた丹羽悠介さん。今では日本一マッチョの介護士が多い会社として知られ、慢性的に人手不足の介護業界では他に類を見ない実績を上げています。
 今回はそのきっかけや反響、そして人材確保や定着を進めるために大切にしていることなどを伺いました。

 

 

 

 

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株式会社ビジョナリー 代表取締役社長
丹羽(にわ) 悠(ゆう)介(すけ)さん

 

 

1985年、岐阜県羽島市に生まれる。美容師を経て、2008年愛知県に㈱ビジョナリーを設立し、3人で訪問介護事業を開始。2012年放課後等デイサービス、2017年からは施設介護と順調に事業を拡大する一方、人材確保に悩んだ。2016年頃、ジムでマッチョと出会い、マッチョの採用を決断。2018年、マッチョ介護の広告塔として、日本初フィットネス実業団「7SeaS」(セブンシーズ)を設立。マッチョがボディビル選手と介護士を両立できる環境を整えた。現在、ビジョナリーの運営施設は愛知県を中心に31施設、従業員約400人(男性49%、女性51%、25~34歳中心)、うち実業団選手7人。採用応募件数は年間1000件(マッチョ1割)を超える。主著に『マッチョ介護が世界を救う! 筋肉で福祉 楽しく明るく未来を創る!』講談社。

 

 

 

プロフィール

日々、トレーニングで鍛えているマッチョ介護士は、体の使い方がうまく、利用者の安心にも繋がっている。

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ボディビル選手で介護士としても活躍する鷲見(すみ) 拓也(たくや)選手(7SeaS所属)

--「マッチョ」と「福祉」のマッチングを発想したきっかけをお聞かせください。

 

 2008年に訪問介護事業を始めて以来、私にとって最大の課題は人材の確保でした。男性である私には、力仕事を伴う障害分野の介護の依頼が多く、「どうすれば若い男性が介護の仕事に興味を持つのか」「どうやったら人が来てくれるのか」と常に考えていました。
 私自身、介護の魅力に触れたのは、美容師を辞めた後、訪問介護のボランティアで利用者さんの髪を切った際にいただいた「ありがとう」の一言でした。その一言に胸を打たれ、この仕事に強く惹かれました。「介護に興味がなくても、この魅力に触れてみれば良さが伝わる」--そんなきっかけを若者に提供したいという想いが出発点でした。
 抜本的な解決策を見出さないまま、人材確保のための方策を日々検討していた2016年頃、ジムで偶然ボディビルの選手たちを見かけ、「こういう人たちが介護の仕事をしていたら面白いよな」と、「マッチョ」×「福祉」という発想が生まれました。周囲は全員反対しましたが、私は「誰も賛成しないということは、まだ誰もやっていないチャンスだ」と感じました。
 後にさまざまなメディアで、「鍛えた筋肉を介護に活かせて、相性がいい」などと取り上げてもらえていますが、これは最初から分かっていたことではなく、ただ若い人に介護の魅力に触れてもらうきっかけを作ることを第一に考えた結果でした。
 初めてマッチョ人材を募集したとき、応募者のほとんどが介護未経験で、不安を抱く人が大半でした。しかし、私は介護に必要なのは技術だけではなく、コミュニケーション能力や明るさだと考えていました。だからこそ「この人の力になりたい。自分が頼られているという意識を忘れない。そういうところを大事にしてほしい」と伝えました。
 入社前の現場体験で、利用者さんから多くの「ありがとう」をもらった彼らは、自分の身体的な強みが役に立つ実感を得て、「意外に楽しい」「やりがいがある」と前向きに感じてくれました。また、介護の仕事が嫌だと言って辞めていく人はほとんどいませんでした。

 

 

--マッチョ介護士の社内での活躍や地域での活動についてお聞かせください。

 

 社内でも、コミュニケーションが苦手な若者スタッフは少なくありません。しかし、マッチョがいるとダイエットや食事、トレーニングなど話題が豊富なので、スタッフ同士の会話が増えました。会社全体の雰囲気が明るくなり、組織としての活気も高まっています。
 当社が掲げる「目の前のお客様から『出会えてよかった』と言われる人になる」というVALUE(価値)を体現する存在として、彼らは地域活動にも積極的に参加しています。
 例えば、介護が必要な方をキャンプにお連れしたり、地域の体操教室へ講師を派遣したりと、地域に貢献する活動を続けています。これらは地域の活性化につながるだけでなく、会社の知名度向上にも作用し、採用のプラス効果も生んでいます。イベント参加をきっかけに「雰囲気が良い」と学生が入社を決めることも珍しくありません。

 

 

--人材確保や定着について実績が上がっていますが、どのようなことを大切にしていますか。

 

 採用や定着において私が大切にしているのは、「この会社は自分のやりたいことを本気で応援してくれる」と感じてもらうことです。会社の支えや仲間の存在が働きやすさにつながり、「ここで働き続けたい」という気持ちを自然と生みます。
 介護は人が商品とも言える仕事です。だからこそどれだけ人を大切にできるかが最も重要だと考えています。また、会社という船には会社の方針に共感し、本気で良いと思う人だけが乗るべきだとも思っています。チームの団結こそが、良いサービスや良い雰囲気をつくる基盤になるからです。

 

 

--今後の展望として、どのような事業展開を考えていますか。

 

 今後は、福祉業界のベンチマークとなる企業を目指し、全国展開を必ず実現したいと考えています。私たちが進出することで地域の同業他社も刺激を受け、互いに良い競争が生まれる。そんな状態こそが業界全体を盛り上げる力になります。また、海外からの取材も増えており、「マッチョ介護は面白い」という声が世界中から届いています。生みの親として、マッチョ介護士が世界でどこまで通用するか挑戦してみたいと思っています。
 

--最後に福祉関係者へのメッセージをお願いします。

 

 福祉業界は今、大きな変革期を迎えています。福祉の枠を飛び越え、別の視点を取り入れることにより、新しい価値を生み出すチャンスが豊富にある、非常に魅力的な業界です。私たちもマッチョにとどまらず、全く新しい発想で挑戦を続けていきます。
福祉は“クリエイティブな仕事”です。既成概念をいったん手放し、新しい視点で挑戦しながら、一緒に福祉の新時代をつくり上げていきましょう。​

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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