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巻頭インタビュー(2023年7月)

「福祉×オシャレ」で 社会に風穴を開ける 全ての人がオシャレを楽しめる世の中を!

 「誰もが当たり前にオシャレを楽しめるファッションを世界中に流行らせる」を発信し続ける、福祉業界のオシャレ番長こと、平林景さん。
 昨年秋には自身が手掛けた巻きスカート「bottom'all(ボトモール)」を引っ提げパリコレに出展。美容・教育・福祉の世界を通じて世の中の偏見に次々と立ち向かい、風穴を開けていきます。今回はその思いと強く揺らぎのない情熱はどこから来るのかを伺いました。

本人画像

一般社団法人日本障がい者ファッション協会 代表理事
平林 景(ひらばやし けい)さん
1977年生まれ。大阪府出身。元美容師。学校法人三幸学園に14年勤務し、美容専門学校の教員、東京未来大学こどもみらい園・副園長、東京未来大学みらいフリースクール・副スクール長を兼務し2017年1月に独立。株式会社とっとリンク代表取締役となり、2019年11月に一般社団法人日本障がい者ファッション協会代表理事に就任。ジェンダーや障害の有無に関わらず誰でも着られるファッションブランド「bottom'all」を手掛ける。愛称は「福祉業界のオシャレ番長」。

 

活動写真

車いすの人でも着脱しやすい巻きスカート「bottom'all」を身につける平林 景さん。車いすに広げて座れば手軽に腰に巻くことができます。

 

 

--美容師の仕事を経て、福祉に携わることになったきっかけから教えてください。

 

 美容師は25歳まで、7年間ぐらいやっていたのですが、アトピー性皮膚炎の影響で続けられなくなり、その後、全国規模の学校法人の美容専門学校で、14年間教員をしました。そこで提案した発達障害の子どもたちの凸凹の凸を伸ばす学校をつくりたいという新規事業が採用され、その責任者になりました。
 

 僕自身凸凹の発達特性があり、大人になってADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた当事者の1人です。長所を伸ばし、自己肯定感を削られず、成長できるフリースクールを作りたかったのです。
 

 フリースクールの立ち上げには3年ほど関わっていたのですが、補助や助成制度が使えず、生徒の学費は結構高額でした。そこで、補助や助成制度が使える放課後等デイサービスを自分でつくろうと思い、独立して起業しました。
 

 つくるならどんな施設がいいか、100人ぐらいのお母さん達に話を聞いてみると、「明るく華やかなところに通わせたい」といった声が多数ありました。そこから「障害があるから通うのではなくて、障害があるからこそ通える」オシャレで、明るい施設があったら面白いよね、という思いで、2017年に放課後等デイサービス事業を立ち上げました。「福祉×オシャレ」をコンセプトにカラフルでデザイン性が高い教室を展開しています。

 

--その傍らで巻きスカートを中心とした誰もがアクセスしやすいアパレルブランド「bottom'all」の商品を開発され、ご自身も普段から着用されていますね。
 

 車いすの人から「洋服を買いに行って手に取っても、一人で試着できないからオシャレは封印した」という話を聞いて、「それなら自分が誰もが着られる服をつくろう」と思ったのが巻きスカートの開発のきっかけです。


巻きスカートは1枚の布からできており、ファスナーとマジックテープで固定します。パンツより着脱が簡単です。
 

 それを僕が日常的に履いているのは、世間には男性がスカートを履く事に対する偏見が存在するからです。「身近な偏見を変えられずに、世の中の偏見を変えられるわけがない」という思いがきっかけでした。
 

 僕は常々ファッションの中で男女を分ける意味はあるのかと思っています。サイズが合えば、男女どちらが着てもいい、障害の有無なんか関係ないし、ボーダーレスの方が面白い。それに、彼らが着て一番カッコいいものを僕たちも着るという方が面白いものができあがり、流行ると思うんですよね。

 

--2022年9月にパリコレに初出展されました。実現への情熱はどこから生まれたのでしょうか。
 

 2019年の9月頃、友人から「まだ車いすの人がランウェイしたことがないらしい」と聞きました。
 

 僕は、障害があってもオシャレができるという考え方は好きじゃなくて、障害があるからこそのオシャレなファッション、車いすに乗るからこそ最強にカッコいいファッションがあると思っています。それをパリでやれたら、世の中の価値観をひっくり返すことができると思い、パリコレに出ようと思ったんです。
 

 出ようと思っても一人でできるわけがありません。まずは皆で集まる「箱」を作ろうと、2019年11月に「日本障がい者ファッション協会」を設立しました。僕を入れて4人、それぞれ本業を持ちながら活動しています。
 

 パリに行く前に、共通の思いを「NextUD(ネクストユウデイ)」という言葉にしました。楽しさや喜びなどを加味した次世代のユニバーサルデザイン(UD)。この概念を世界に広めることをミッションとしました。

 

--今年は国際福祉機器展でファッションショーをされるということですが、その狙いを含めて今後の目標を教えてください。
 

 東京ビッグサイトの会場は、余裕で1000人を収容できます。車いすの方など障害のある方だけのファッションショーをその規模でやったことは、世界でまだないんじゃないかな、そういう意味で面白いイベントになるという気がしています。
 

 パリ、ニューヨーク、ロンドン、ミラノという世界4大コレクションと全く違うベクトルで、世界初の「NextUDコレクション」というのをやったら面白いのではないかというのが野望のひとつです。
 

 そして、いろいろなブランドがNextUDを発表することで、それが世界中で当たり前になっていく。そんな時代の幕開けになるんじゃないかなと思っています。

 

--最後に、福祉や介護に携わる読者に向けて、メッセージをお願いします。
 

 こんなのがあったらいいなとか、これがやりたいと思っても、そんなの私にはできないとか、ついつい足踏みしてしまうことってあると思います。でも僕は、できるかできないかは能力より圧倒的に情熱が勝ると思っています。
 

 自分で全部できる必要は一切ない。できない部分は誰かにやってもらったらいい。逆に自分よりできる人を仲間に引き込んだらいい。仲間が増えると、自然と動き出すものです。
 

 やりたいことがある人は、絶対誰かに言った方がいいです。そのときは、「やりたい」では弱いので、「やる!」と言った方がなおいい。この2つの言葉はまるで別の言葉なのです。言霊(ことだま)を使って自分の逃げ道をなくすというのは、いい手ですよ。

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