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巻頭インタビュー(2024年4月)

僕はひとりぼっちの人に向けて歌いたい 〜地域に根差した音楽活動を展開〜

 優しい歌声と心に沁みる歌詞で、聴く人を魅了するシンガーソングライターの工藤慎太郎さん。現在は生まれ育った川口市で、地域に根差した音楽活動を行っています。
 コンサート活動の合間には地域の高齢者施設、障害者施設を訪問して、歌を届けるボランティア活動にも取り組んでいます。
 シンガーソングライターとして地元で活動することの意味について伺いました。

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シンガーソングライター
工藤 慎太郎(くどう しんたろう)さん


1980年生まれ。川口市出身。2005年テレビ埼玉のオーディション番組で初の10週勝ち抜きを遂げ、翌年「シェフ/Message」でメジャーデビューを果たす。同曲で第39回、日本有線大賞新人賞を受賞。2007年にはユニクロのTV-CMソングで脚光を浴び、以降はライブやラジオ番組などで精力的に活動。2011年に活動を一時休止し、2013年に再開。2018年に川口市立高等学校の校歌「木立の歌」を制作。2020年に生活支援体制整備事業イメージソング「そばにいるよ」を制作。

p02_提供写真

--シンガーソングライターになったきっかけからお話いただけますか。

 僕がまだ小さかった頃、両親は車の中でいつも、フォークソングや歌謡曲を聴いていました。子どもながらに親の喜ぶ顔が見たくて、それらの歌を覚えてよく歌っていました。そのうち歌うことが好きになり、ギターも独学で学びました。その一方で宮沢賢治をはじめとする詩の世界にも魅せられ、自身で作詞作曲したオリジナル曲を歌うようにもなりました。高校になると路上ライブを開始。20代前半、オーディション番組でチャンピオンになったことをきっかけにメジャーデビューを果たすことができました。

 

--どのような思いで音楽活動に取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

 今の時代は、心の時代だと僕は捉えています。昭和の時代はたくさんのモノをつくり、目に見えるモノに満たされて豊かさを得て、幸せを感じていました。しかし現代は、インターネットからさまざまな情報が得られるようになり、目に見えないモノを求める時代に移ったような気がします。そんな中、仕事を失う人もいるし、「私がここにいる意味はあるのか」と、生きることに戸惑っている人も大勢いると思います。工藤慎太郎の歌は、そのような人たちの心に寄り添い、生き方に寄り添うものでありたいと思い、音楽活動に取り組んでいます。

 

--工藤さんは介護の仕事に携わっていた経験があるそうですね。

 メジャーデビューしてしばらくは仕事がとても楽しかったのですが、だんだんと歌の表現がうまくできなくなり、自分自身を見失い、声も出なくなって活動休止を余儀なくされました。

 その期間中に、訪問入浴の仕事をすることになりました。体を使う仕事ではありますが、人と人が相対し、そこには“心”がありました。

 僕は現場にギターを持参して、入浴後にご本人の希望を伺ったうえで歌っていました。ある女性の家を訪ねたときのことですが、その方は身体が拘縮していて、言葉を発することもなく、いつも遠くを見つめていました。ところが入浴後に「故郷(ふるさと)」を歌ったところ、なんと涙を流して泣いていたのです。

 僕の「がんばってください」「大丈夫ですよ」といった声掛けに全く表情を変えることがなかった方が、僕の歌には反応してくれた。歌には、その方の奥深くにある生きる力や希望をぐっと掴んで引き出す力があるのだと実感できた出来事でした。

 私は歌とは聴く人を映す“鏡”だと思っています。そのためには歌が主役でなければならず、アーティストが歌より前に出てはいけない。工藤慎太郎という人間をいかに消すかということが大事かな、と考えて歌っています。

 

--校歌や川口市生活支援体制整備事業のイメージソングを制作されています。どのような思いを込めて、取り組まれたのですか。

 まず校歌については市の教育委員会から「工藤さんなら、きっと爽やかな校歌をつくってくださるはず」と、突然連絡をいただいたんです。本当に僕でいいのかと驚き、正直戸惑いました。でも託されたのであれば、生徒の皆さんが気軽に口ずさむことができる校歌にしようと考えてつくりました。

 生活支援体制整備事業に関しては、関係者の皆さんから「この事業を拡げていくために、親しみやすくて覚えやすい曲をつくってほしい」という要望がありました。漢字だらけで難しそうな名称の事業だというのが第一印象でしたが、一言でいうと「手と手をとりあって生きていきましょう」「支え合いが大切」ということなんですよね。

 そこで歌のタイトルを「そばにいるよ」に決め、この言葉の響きが持つ力を大切にしながら曲づくりをしました。たくさんの方を優しく包み込むイメージソングになったと感じています。

 

--高齢者施設、障害者施設を訪問して歌を披露するボランティア活動にも取り組んでいますが、地域に根差した活動を続けているのはなぜですか。

 活動を休止していた時期は、僕のなかの歯車が空回りしていると感じていましたが、川口市に戻ってきて、校歌や生活支援体制整備事業のイメージソングを制作しているとき、歯車がガチっと合う感覚があったのです。それはボランティア先の福祉施設で利用者さんの楽しそうな表情を見たときにも、同じような感覚があります。歌うことの意味を感じられ、僕自身も大きな喜びを感じられるのです。

 大変な思いをしている人、孤立している人に対して、僕は生き方や心に寄り添う歌を届けて、そんな人たちから僕の歌は求められてきました。これからも、僕の歌を聴いて「助けられたよ」と言ってくれる人のために、歌っていきたいと思います。

 

--4月は新たなスタートをする季節でもあります。頑張れるヒントになるメッセージをお願いします。

 では、僕の好きな「雲の上はいつも晴れている」という言葉を皆さんに贈りたいと思います。生きていく中で苦しい、つらいと感じたときは、「でも雲の上には晴れた空が広がっている」と思ってみてください。きっとその苦しみを乗り越えられると思います。


 

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