県社協のご紹介
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10年前、医療的ケアが必要なこどもたちとその家族がつながって、楽しく交流できる場が誕生しました。現在は、こどもたちの幸せな一生を支えるために、活動の幅をさらに広げています。
NPO法人mamacareの代表 藤川友子さん
医療的ケア児の息子さんは昨年、特別支援学校高等部を卒業。先輩ママとして会員の皆さんに頼りにされています。ヘルパー資格を活かして、訪問看護の際に同行する活動も行っています。
三芳町の中央公民館で開催した交流イベント。医療的ケア児とその家族、看護師や学生などのボランティアが参加して味噌づくりを楽しみました。大豆に触れて、感触を確かめています。
今から10年前の2014年、医療的ケア児の母親たちが集まってmamacare(以下、ママケア)を立ち上げ、2019年に法人化しました。医療的ケア児とは、人工呼吸管理やたんの吸引、経管栄養、導尿などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことです。
立ち上げの中心メンバーである藤川友子さん(法人代表)も医療的ケア児の母親ですが、以前は横のつながりがない中で悩みを打ち明けられる相手も見つからず、必要な情報を得ることもできませんでした。
そのような中、保健所の交流会やブログを通して母親同士が徐々につながり、集会所を借りて集まるようになりました。当初はおしゃべりをする中で誰かが泣きだし、みんながもらい泣きするということを繰り返していましたが、回を重ねるうちに、笑顔があふれるようになったといいます。
藤川さんは「仲間と悩みを分かち合ったり、情報交換したりすることの大切さを実感し、まだつながっていない母親、父親のためにも団体として設立することにしました」と話します。
夢を実現する第一歩として訪問看護事業をスタート
ママケアの活動場所はふじみ野市、三芳町近辺ですが、住所は限定せずに会員を募集しており、県外の方も含めて現在は約20組の親子が参加しています。
毎日、気を張り詰めて我が子をケアしている母親にとって、サロンに参加してゆっくりとコーヒーを飲む時間は貴重で「久しぶりに癒されました」と喜ばれています。その間、こどもたちを見守るのは看護師や薬剤師などの医療資格をもつボランティアの皆さんです。作業療法士を目指す学生が参加して、こどもたちと遊ぶこともありました。こどもたちにとっても、さまざまな人と交流できる貴重な機会となっています。
最初はこのようなコーヒータイムを過ごす活動にとどまっていましたが、現在は勉強会やワークショップも開催するようになりました。摂食・嚥下など食に関することや、医療的ケア児のいる家庭の災害対策などをテーマに、専門家を講師に招いて会員の知識を深めています。
さらに昨年1月には訪問看護事業をスタートしました。看護師と一緒に医療的ケア児を育てた経験をもつ母親が同行し、相談に乗るというママケア独自の取り組みも行っています。また日中一時支援事業として、一時預かりも実施しています。
「私たちは医療的ケア児の一生を彩り豊かで楽しいものにしていきたい。そのための第一歩として訪問看護事業を手掛けました」と藤川さん。ゆくゆくは生活介護事業所や共同生活のできるグループホームもつくりたいという夢をもっています。
医療的ケア児支援法が施行されたのは令和3年。まだまだ制度が整わないなか、ママケアは大きな目標に向かって着実に歩を進めています。