県社協のご紹介
県社協のご紹介
埼玉県社会福祉法人社会貢献活動推進協議会(以下、推進協)は、県内の社会福祉法人が協働して公益的な事業を行い、社会福祉法人の役割や使命を果たすことを目的として、平成26年6月に設立されました。推進協におけるこれまでの10年間の取組や成果と今後の抱負について、池田徳幸会長に伺いました。
埼玉県社会福祉法人
社会貢献活動推進協議会 会長
池田 徳幸(いけだ のりゆき)さん
社会福祉法人名栗園理事長、介護老人福祉施設あしかり園施設長、埼玉県社会福祉協議会副会長、埼玉県社会福祉法人経営者協議会会長、一般社団法人埼玉県老人福祉施設協議会会長、一般社団法人埼玉県社会福祉事業共助会理事長。
令和3年6月より埼玉県社会福祉法人社会貢献活動推進協議会会長。
埼玉県社会福祉法人社会貢献活動推進協議会
10周年記念式典
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--推進協として最初に取り組まれた「彩の国あんしんセーフティネット事業」についてお話しいただけますか。
生活困窮者への相談支援事業として、各種制度・サービスの紹介や支援機関への橋渡しのほか、「電気・ガスが止められてしまった」「家賃滞納のため強制退去の手続きに移ると言われた」などの状況の場合、現物給付(経済的援助)を行い、生活困窮者の自立を支援しています。これまで、3、928世帯の相談に応じ、8、100万円を超える現物給付を行ってきました。
昨年度は、物価高騰等の影響もあり、初めて年間現物給付額が1、000万円を超えました。ひっ迫した状況の方からの相談が多く、相談支援を行う会員施設では迅速な対応を心掛けています。そのため、相談者からは「すぐに支援を受けることができて助かった」と感謝の声をいただくことが多く、推進協の取組が困窮されている多くの方々への支援につながっていると実感しています。
--その後もさまざまな事業を展開されていますね。
「就労支援」(平成29年度~)では、すぐに一般就労に結びつかない方やひきこもりの方など、働くことに課題を抱えている方のため、会員施設が施設内清掃等の短期就労体験プログラムを提供しています。就労体験を通じて自信を取り戻し、就職活動に前向きになった方や、体験施設に就職した方など、支援によってさまざまな変化をもたらすことができました。
また、こども服が買えない家庭を支援するため、寄付いただいたこども服を無償で提供する「衣類バンク事業」(平成30年度~)にも取り組んでいます。保育所を中心とする会員施設が事業周知や寄付の呼び掛けを行い、衣類を集めています。企業や団体から多くの寄付をいただくこともあり、最近では、フードパントリーを通じた衣類提供も行っています。利用者からは、家計負担軽減につながったとの声を多くいただき、子育て世帯への支援の一助となっています。
コロナ禍以降は、ひっ迫した状況の相談者に迅速に食料支援を行えるよう、食料品を会員施設・社協に送付したり、こどもの学びを応援するため、こども食堂やフードパントリー、学習支援を利用する世帯に文房具を配布したりするなど、広く支援を展開しています。
--推進協の事業に取り組むことで、会員施設にとってはどんな効果がありましたか。
住民が抱える困りごとや地域の社会資源など、地域の実情を知る機会になり、職員の資質向上とともに、社会貢献活動への気運醸成も図られています。
また、行政の担当課や自立相談支援機関など、これまで関わりのなかった方々との関係構築につながっています。
さらに、推進協の活動をホームページなどに掲載することで、「魅力的な法人」というブランディングにつながり、求人活動にプラスに働くといったメリットもあります。
--事業が拡大する一方で、推進協に未加入の法人もまだまだいらっしゃいます(※1)。
社会福祉法人は、さまざまな事業に補助金をいただき、税制上の優遇措置を受けています。そのため、公益性の高い法人として、福祉サービスを提供することだけでなく、専門性を活かして、既存の制度では対応が困難な地域課題の解決に取り組むことが求められています。
推進協の事業はまさに「制度の狭間」で課題を抱える方々に対しての支援であり、社会福祉法人の本来の役割を果たす取組だと思っています。推進協の主旨を理解し、賛同される法人が増えることを期待しています。
--池田会長が理事長を務める社会福祉法人名栗園でも数多くの公益的な活動に取り組まれていますね。
当法人は、昭和44年に設立以来、常に地域に根差した法人経営を行ってきました。地域課題に対して施設として何ができるかを考え、地域の方々と一緒に形にしてきたことが、結果的に公益的な活動の推進につながっています。
平成28年に社会福祉法が改正され、公益的な取組が社会福祉法人の責務となりました。義務感で実施すると思うとハードルが高くなりますが、当法人のように「困っている人がいるから、助けよう」という気持ちで対応すると気軽に取り組めると思います。
--最後に、今後の抱負とメッセージをお願いします。
昨年度から市町村域での公益的な取組支援を開始しました。県域での取組だけでなく、各市町村でも社会福祉法人間のネットワーク作りや連携強化を支援し、困難な地域課題の解決に取り組むことで、社会福祉法人の役割を果たし、存在価値を高めていきたいと思っています。
今年は、10周年記念式典を11月22日に開催予定です(※2)。ぜひ関係機関の皆さまにもご参加いただければと思います。推進協事業は会員施設同士の連携・協働はもちろんですが、会員社協をはじめ、自立相談支援機関、民生委員・児童委員など多くの関係機関の協力がなければ、継続できなかったと思います。特に困窮者の支援については、関係機関の協力は欠かせません。
今後も関係機関の方々と連携・協働しながら事業を実施していきたいと思いますのでご協力をお願いいたします。
(※1)令和6年7月末現在会員数は、219法人239施設、63市町村社協(法人加入率24・6%)です。
(※2)参加希望の方は推進協HPよりお申込みください。(P7参照)
<彩の国あんしんセーフティネット>
事業実績 (H26.9~R6.7末)
合 計
相談支援件数 3,928件
現物給付件数 2,851件
現物給付合計金額 81,706,829円
就労支援実績 (H29.7~R6.7末)
合 計
就労支援件数 134件
就労支援日数 1,750日
衣類バンク事業実績 (H30.4~R6.7末)
合 計
支援人数 7,107名
衣類支援点数 19,520点
現物給付 内容内訳
光熱水費 30%
食材 24%
交通費 9%
住居関係 8%
日用品 6%
医療費 5%
携帯電話・通信費 4%
その他 14%
集計:H26.9~R6.7