県社協のご紹介
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こども食堂の団体とフードパントリーの団体のネットワーク化を図る「加須市子育て応援子ども食堂・フードパントリー団体連絡会」が発足しました。先進的な「加須モデル」が立ち上がった経緯や、連携の成果などを紹介します。
取材に協力いただいた「加須市子育て応援子ども食堂・フードパントリー団体連絡会」の皆さん。写真左から戸恒和夫さん、宮坂照美さん、嶋田善市さん(会長)、杉沢正子さん、猪股富美子さん。
加須こどもまんなか広場で開催されたこども食堂「キッチンわーぐる」。こどもたちは食事を楽しむだけでなく、配膳や食器洗いなども手伝いました。
加須市は「日本一こどもを産み育てやすいまち」を目指して、子育て支援に重点を置いたさまざまな取り組みを進めています。平成28年にこども食堂として「すくすく広場」が活動を開始。その2年後にフードパントリーの「こども食堂応援隊」が立ち上がりました。現在こども食堂7団体、フードパントリー6団体が事業を展開しています。
ところが団体が増える中で、運営資金の確保や食材の調達が困難なケースが出てきたのです。そこで関係団体の皆さんは、ふるさと納税制度において、子育て支援に関する事業の項目を設けるように市に対して要望し、こども食堂とフードパントリーの運営費に活用できるようになりました。
このような市との交渉をする中、こども食堂とフードパントリーの団体同士を横につないでネットワーク化することが決まり、令和5年5月「加須市子育て応援子ども食堂・フードパントリー団体連絡会」(以下、団体連絡会)が発足しました。「各団体が連携・協力することで、安定した財源確保による運営の持続化や、食品の受け入れ、集荷、分配を共同で行うことによる支援の効率化などを目指しました」と、団体連絡会の会長、嶋田善市さんは話します。
市から団体連絡会に対して、共同倉庫や会場使用料、燃料費などの経費の一部として年間230万円が補助されることになりました。
新たな拠点を開設してこどもまんなかの居場所に!
団体連絡会には拠点が必要です。そこで以前、福島県双葉町からの避難者の方々が利用していた二階建ての空き家を、県の助成を受けてリニューアルし、こども支援事業の拠点として借り受け、令和6年3月、「加須こどもまんなか広場“こ・こ・か・ら”」としてオープンしました。調理室も完備され、こども食堂、フードパントリー、学習支援などに活用しています。夏休みにはこどもたちに向けた、餃子づくりなどのワークショップを開催。文字通りこどもをまんなかにした居場所として活用されています。
団体連絡会を立ち上げた成果のひとつとして、人材やノウハウを共有できるようになったことが挙げられます。実際に、学習支援を開始しようとした団体に対して、長く学習支援に取り組んできた団体のスタッフがサポートに入ってノウハウを伝授したそうです。
また、こども食堂などで人手が不足したとき、お互いに助け合えるようになったこともメリットのひとつです。さらに団体連絡会として研修会を開催して、知識を高めあっています。情報発信力も高まりました。
県内のこども食堂やフードパントリーの団体も増加している中、団体が主体的にネットワークを運営し、それを地元自治体が全面的にサポートする、地域のこども・子育て応援の先進的な「加須モデル」の取り組みに注目が集まっています。