◇「いまあなたにできる、50のこと ボランティア、最初の一歩の踏み出し方」
出版:WAVE出版(2006/7)
【レビュー】
みなさんはボランティアをしたことがありますか?学生の時はあるけど。今は仕事があるし。
そんな方が多いですよね。「何かの役に立ちたい」そんな気持ちがあれば、最初の一歩を踏み出してみませんか?例えば今ポケットの中にある小銭です。
7円でヒマラヤに1本の樹を植えることができます。20円で一人のストリートチルドレンが昼食をとることができます。100円でフィリピンでは一人の子供が一か月幼稚園に通うことができます。1000円では、2000円では、書き損じのハガキが、使い古しのランドセルが・・・・。こんなにも色々なことが、こんなにたくさんの人のためになる!この本はそんな、「いまあなたにできる50のこと」がわかる一冊です。
わずかな最初の一歩が、「世界のために動くこと」つながっていくのです。一人ひとりができる時にできることを、それが国際貢献になるなんて素敵ですよね。(Y.M)
◇生徒たちの金メダル 河合純一著
ひくまの出版(2001/8)
ISBN:4-89317-262-X
【レビュー】
「夢をもち、努力することの大切さを伝えたい」
静岡県舞阪中学校で教鞭を執る筆者は、全盲という障害をもちながらも、2000年秋にシドニーのパラリンピック日本選手団主将及びブラインド(視覚障害)の水泳アスリートとして出場。数々の困難を乗り越え、バルセロナ、アトランタに続いて見事に金メダルに輝いた。これは、「夢」を片時も諦めることのなかった一人の男の挑戦記である。
「夢は一人で輝くものではない。みんなと一緒に「輝かせて」こそ、真の夢の実現の喜びがあるのだ」
夢を追うのに、障害者だとか健常者だとか関係ない。そしてその夢は自分ひとりのものではなく、多くの人と共有することで、実現した時に一層輝きを放つのだ。暗闇の中、生徒たちの心を光の道標として金メダルに泳ぎ着いた筆者の姿にはそのような想いが詰まっているように感じざるを得ない。
――あなたは今、夢をもって生きているだろうか?
――大人になって、夢を追う勇気を、なくしてしまっていないだろうか?
もしあなたが、夢を追うことに疲れてしまっているならば・・・そんな人にこそ読んでほしい、珠玉の一冊。(A.S)
◇「あなたとわたし わたしとあなた~知的障害者からのメッセージ」
谷口奈保子 文 寺澤太郎 写真
出版:小学館(2012/1)
ISBN:9784097264606
【レビュー】
「わたしは障害者」とはじまるこの本は、障害者の日常を綴った写真集である。何の難しい説明もない。ページをめくると障害者が生き生きと働く姿が続く。それらは、たくさんの言葉でつないだ文章よりも雄弁だ。
「守られるだけじゃなくて、だれかの役に立てるのはうれしい。」 「だれかから もらうお金と自分で働いてかせいだお金とはちがう。」 読み進めていくうちに、障害の有無に関わらず、一人の人間としての生きることの尊厳を問いかけていることに気づく。
この本の最後は、「私は障害者、あなたは?」として終わる。難しい言葉抜きで、生きることの本質を訴える図書を子供たちと味わいたい。福祉教育担当者にもおすすめの1冊(J.O)
◇「きょうだい」
白鳥めぐみ・諏訪智広・本間尚史共著
中央法規出版(2011/11第2刷)
ISBN:9784805833742
【レビュー】
兄弟と言えば、子供の頃、親や周りに対して「お兄ちゃんばっかり...」「妹は自分と扱いが違う...」なんて思った人は多いだろう。
しかし、この本で語られていることは、生まれた順や性別の違いという兄弟でよくある話ではない。兄弟に障害があるのだ。
幼い頃は兄弟の障害というものを意識しないで生活しているが、小学校に通うなど自分の社会環境がどんどん変わることで、次第に障害があるということを考え始めるようだ。兄弟に対して、「つい怒ってしまった」と小さな心で自分を責めたり、心待ちにしていたお出掛けを「我慢しよう」とあきらめたりする健気さに、こちらまで切ない気持ちになる。
だが、本人の家族を思いやる配慮や、周囲への思い、兄弟に注ぐ愛情の深さに、心が温まるし、ちょっと涙も出る。また、たくさんのエピソードで構成され、アドバイスも合わせて書かれているので、対応について学べる内容だ。
読後に離れて暮らす家族・兄弟を思い出した。(K・N)
◇「ハチドリのひとしずく いま、私にできること」 辻信一 (監修)
出版:光文社 (2005/11/22)
ISBN: 978-4-334-97491-6
【レビュー】
森が燃えていました。ハチドリは小さなくちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。他の動物たちは「そんなことをして何になるんだ」と笑います。「私は、私にできることをしているだけ」とハチドリは答えました。
これは南アメリカの先住民に伝わる短いお話です。火事を消そうとしなかった他の動物たちは、何故笑ったのでしょうか?
この本は、著名人からのメッセージと環境のために誰でもできるプチアイディアを盛り込んだ構成になっています。地球温暖化など大きな環境問題に取り囲まれている昨今、私たちは無力に思えてしまいますが、私たちの住む地球のために私にもできることがある。できることは何か?地球を大事に思い、未来に希望を持ち、環境について考えてみようと問いかけてくる1冊です。
さて、森はその後どうなったのでしょうか? 物語の続きを描くのは私たちです。(R.Y)
◇「保健室ものがたり」こんのひとみ
出版:ポプラ社(2006/8)
ISBN:4591091902
【レビュー】
忙しい日常の中で、私は子どもの気持ちを受け止められているだろうか?そんな問いかけを何度もくりかえしながら、読みすすめた。
小学校や福祉施設を訪ねて出前ライブを行う筆者は、たくさんの子どもたちや養護教諭からの話を「保健室ものがたり」として一冊にまとめた。毎日夕食がスナック菓子のため、手づかみでしか食べられない女の子、毎日抱っこをせがむ女の子、家庭の事情で誰にも内緒で引っ越していく男の子・・・。
子どもは明るく元気が一番と、大人は思ってしまうけれど、本当は小さくて弱いものであり、大人の世界の不安やイライラを心にずっしりと溜め込んでしまうのかもしれない。
「ねえ、ねえ、お母さん。」その呼びかけに、「あとでね。」と言わずに、その時しっかりと聞いて受け止めてあげることの繰り返しが、子どもの心の成長につながっていくのだと改めて気づかされる一冊である。(Y.M)
◇殺さないで 児童虐待という犯罪
出版:中央法規(2002/9)
ISBN:4-8058-2253-8
【レビュー】
実母とその内縁の夫から全身に暴力を受け続け、雪の降り積もった駐車場で、裸で写真を撮られ、二日後に亡くなった六歳の男の子。ぼろぼろの段ボールに囲まれたわずか1メートル四方の空間で3年6か月の生涯を閉じた女の子。
本書は、衝撃的なタイトルの通り、読むことを躊躇うほどの児童虐待の現実と児童相談所等の公的機関の対応の不十分さや救おうと動いた関係機関など、虐待を取り巻く実態や取組について記されている。
虐待を受けた子供たちはどんなことを思いながら、その短い生涯の最期を迎えたのだろうか。一人の親として、行き詰った時、不安になった時、助けてくれる人がいたことがどれだけ恵まれていたことだったのか改めて気付かされた。子育ては、母親だけがするものではない。そのことを知ってもらうためにも、支援者は勿論、一番身近な父親やお孫さんを持つ方たちに特に読んでもらいたい。(M・T)
◇「園長先生の子育て講座」 関 定夫著(2009/11)
【レビュー】
子どもを育てるということは、初めての体験の繰り返しで、どうして子どもは泣くのか、どうやって子どもを叱ればよいのか、特に初めての子育てをされる方は「悩み」も「不安」も多いだろう。 この本では、子どもの行動、問題を表面的に見て対応するのではなく、その奥にある原因を考え、根拠をもって解決していく方法が書かれている。
また、第2部では、「言葉づかい」「人間観とは」という項目もあり、子育ての有無に関係なく、今の自分自身を振り返ることができる。
本自体の構成も項目ごとに書かれていて読みやすく、子育ての方法、悩みを解決していくヒントとなる1冊になるのではないかと思う。これから子育てする方、子育て中の方、保育士の方たちに読んでいただきたい。(Y.H)
◇不登校セラピー ~中学・高校生の再登校率88%のカウンセリング
新井てるかず著
出版:大月書店(2010)
ISBN:978-4272412075
【レビュー】
学校に行くのが嫌だと思ったことはないだろうか。
もしそれが、本人の意思とは裏腹に身体が登校を拒否し始め、学校に行けなくなったとしたら... 親は育て方が悪いのではと悩み、周囲は子どもにもっと強くなるようにと叱るかもしれない。
本書では、不登校の原因を"ストレスの記憶"としている。本人の心の弱さでも親の育て方でもない、"記憶"に焦点を当てている。 カウンセリングなどで"現在の本人の感情"に働きかけても不登校は解決しない。"トラウマとなった記憶に伴う感情を除去する"ことが再登校への道であるということが、本書を読み進めるうちに理解できる。
本書は、著者が実際に携わった事例をもとに不登校セラピーの進め方が事細かく書かれている。それは心理学の専門的なアプローチであり、本書を読んだからといってすぐに実践できるものではないが、不登校となる原因の本質の捉え方として、新鮮かつ納得のできる一冊となっている。(Y・Y)